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平成13年3月議会・一般質問

 

 市民クラブの中道です。通告に基づき市政一般質問を行います。

質問の題目は、「製販一体型事業支援施設・たじみ創造館の市長責任を問う」と、「駅北地区は市民にとって誇りと愛着の持てる多治見の顔になれるのか」、の2つであります。

 最初に、製販一体型施設の市長責任について質問を行います。

先の12月議会で、製販一体型施設は失敗したのか、という質問がありました。これに対する西寺市長の答弁は、「失敗とならないようにしたい」、というものでありました。当施設は、昨年の5月23日にオープンする予定であったにもかかわらず、オープンができず、しかも、12月2日にも仮オープンしかできなかったことから見て、西寺市長のこうした答弁は、著しく現状認識と責任感を欠如した答弁であった、と言わざるを得ません。そもそも、私はこの製販一体型施設の誘致に、当初から懐疑的でありました。本施設は、去る平成10年11月13日の全員協議会において、初めて誘致計画が議員に知らされました。
その席上、私は本施設が多治見市の地場産業のための施設ではなく、地域振興整備公団が生き残るための施設ではないか、施設の誘致はもっと慎重にすべきである、と意見を述べました。その時の市長見解は、本施設が公団の第1号店であり、誘致は地場産業を活性化するためのラストチャンスである。また、中心市街地の活性化のためにも千歳一隅のチャンスなので、是非、施設を誘致したい、というものでありました。私は、地場産業を活性化させるために、市長がそこまで主張するのならば、やむを得ない。ただし、この施設が将来、多治見市のお荷物にならないようにして頂きたい、と要望しました。この市長と私のやり取りは、2期目以上の議員さんなら、記憶しておられる方も多いことと思います。しかし、この度の3月議会の補正予算と13年度予算を精査いたしますと、私が危惧したように、この施設誘致が失敗であったこと、そして、既に多治見市のお荷物になっていることは明らかであります。

さて、それでは、市長の施設誘致策が失敗したか否かの判断は、何で決めればよいのでしょうか。私は判断基準が3つあると考えています。第一に目的を達成しているか、ということです。目的を達成しているか否かの数値目標は、入居予定の20店舗が全て埋まること、そして、その内、陶磁器産業からの入居が何店舗あるかということです。ところで、議員の皆さんは、学校で赤点を取ったことがありますか。優秀な議員さんばかりですので、恐らく取られたことはないと思いますが、赤点は60点未満です。赤店を取ると、60点以上になるまで、追試験を受けなければなりません。製販一体型施設の赤点は何点でしょうか。20店舗が全て陶磁器関係者で埋まることが100点満点だとしますと、赤点は12店舗未満となります。つまり、本施設が合格だと言えるのは、陶磁器関係者が12店舗以上入居することだ、と極めて常識的に考えています。もちろん、残りの8店舗には、陶磁器以外の民間の店舗が入居していることが前提条件です。何故ならば、空店舗の家賃は、つまるところ市が負担しなければならないからです。3月20日、岐阜新聞は20店舗の内、13店舗の出店が決まったと報じましたが、陶磁器関係者が12店舗以上入居したのでしょうか。残りの7店舗は埋まったのでしょうか。昨日の答弁で、本施設は賑わいを創出するという目的を達成しているとの答弁がありましたが、本当にそのように思っておられるのでしょうか。判断基準の第二は、市民に公表したオープンの期日が守られたか否かです。平成11年12月1日号の広報で発表されたオープンの期日は、平成12年5月23日でした。グランドオープンは4月6日と聞いておりますが、約1年遅れています。しかも、本施設は昨年の5月23日と12月2日で合格せず、今回で2回目の追試験を受けている段階と考えています。判断基準の第三は、当初の予算が守られているか否かです。この場合の当初予算とは当初のオープン期日を含むH12年度予算までです。具体的に述べますと、3階の文化工房と1階のPRセンターの費用を含むのが当初予算で、6月議会以降の補正予算や13年度予算の内、予定外に増加した費用は当初予定外費用となります。当初予定外の費用は3月議会で、次の3つのものが明らかになりました。

一つ目は補正予算と新年度予算で、債務負担行為の出店者家賃補助が3割から7割に変更され、期限も平成16年度までと、1年が延長されました。

二つ目の予定外費用として、新年度予算においては、家賃補助と商工会議所のチャレンジショップで6474万円が、PRセンターの拡張を含む管理運営費に4852万円が計上されており、これらの内の当初予定になかった費用が、予定外の新たに発生した費用です。

三つ目の予定外費用は、もし、民間のテナントが入居しなかった場合、空店舗は市の施設で埋めなければならず、その場合の家賃と共益費は市が負担しなければなりません。しかも、その負担は民間のテナントが入居するまで継続しなければなりません。
これら3つの予定外費用は、債務負担行為や空店舗の入居状況に支配されますので確定はできませんが、全てを合計すると、かなりの額になることは間違いありません。

以上、述べましたように、施設目的の達成、オープン期日の遵守、予算範囲内での施行のどれを見ても、本施設は条件を満たしていません。これが民間の施設であれば、とっくに倒産しています。何故ならば、オープンを1年遅らせても所期の目的が達成できず、さらに資金を投入しなければならないからです。これを失敗と言わずして、何と呼べば良いのでしょうか。

では次に、本施設に一体いくらの税金が投入されたのか、また、今後、いくらの税金を投入しなければならないのかを、予算資料を用いて、試算して見ます。製販一体型施設は、平成11年度までに、5744万円を投資しています。平成12年度は、この度の減額補正した文化工房の費用と、PRセンター費用、及び家賃補助の予測を合計しますと、約3500万円になります。つまり、本年度が終了する時点で、施設は既に約9200万円を投資したことになります。 さらに、平成13年度には、文化工房が3965万円、PRセンターが4852万円、家賃補助とチャレンジショップが6474万円が計上されており、これらの予算を合計しますと、なんと1億5291万円となります。つまり、当初計画から平成13年度が終了するまでには、約2億4500万円もの税金が製販一体型施設に投入されることになります。その上、今後も年間の維持管理費として、推定ですが文化工房に3961万円、PRセンターに2400万円の合計6361万円が最小限必要です。その上、家賃補助やチャレンジショップ制度が継続し、かつ民間のテナントが入居しなければ、負担はさらに増加する筈です。

一方、公団は施設がオープンした13年後には、当施設を売却する予定です。今のところ、市内に施設を購入できるような民間団体は、見当たりません。したがって、市が買い取らなければならない可能性は最も高いと言えます。公団が施設を売却するまでの間の文化工房とPRセンターの最小限の維持管理費は、8億2693万円となります。そして、今までの判明している費用が2億4500万円なので、これらを合計いたしますと10億7193万円となります。施設の建設費は約9億円と聞いていますから、この時点で市の負担は建設費を約1億7000万円上回ります。その上、13年後は施設の買い取り費用が嵩みます。 ここまで試算が進み、多大な税金の投入が予測されると、当然もう一つの選択肢が視野に入ってきます。つまり、無理をしてでも、早い時点で施設を買い取り、公団との約束事である目的外使用の制約条件をはずして、市の施設として自由に活用する方法です。このままの方針で突き進んで、施設は本当に陶磁器産業界に役立つのでしょうか。しかも、現在の入居状態から見て、将来を展望できない使い難い施設に対し、毎年、最低でも6300万円の維持管理費を投入しつつ、13年後には施設を買い取らなければならないかも知れないのです。恐らく、本施設に投入する税金は15億円を下らないことになるでしょう。市長の判断如何で、15億円以上の血税が浪費されようとしているのです。私は、市長に冷静な総括を行って頂きたい。そして、失敗と認め、自らの責任を明らかにし、今後のより良い施策を選択して頂きたいと、切に願うものであります。

以上のような観点から、確認する意味で、以下、10点の質問を行います。

@ 計画時からオープンまでの所期の目的は達成したのか。

A 施設のオープンが遅れた理由は何か。

B 目的とするテナントが入居しない理由は何か。

C 目的外使用施設の部分は今後どのような方針で努力するのか。

D 当初の予定外のコスト、イニシャルコストと年間のランニングコストはいくらか。

E 市長自らは、所期の目的を満足させるテナントの誘致をするために、どのような努力をしたのか。

F 華柳の今年度の事業計画達成度と予算執行度合いはどのようか。

G 華柳が施設の管理運営に加わらない理由は何か。

H この度の施設のオープンに際し、公団からどのような注文があったのか。

I 公団は施設の管理運営を何時まで続ける予定なのか。

 

 

 

次に、大きく2つ目の質問を行います。題目は「駅北地区は市民にとって誇りと愛着の持てる多治見の顔になれるのか」であります。
まず、最初に確認しておきたいことは、駅北土地区画整理事業の本来の目的は何か、ということです。

そもそも、駅周辺整備事業の目的は、駅の南北格差をなくし、南北を一体化して、多治見市の顔とすべき中心市街地を作り、商業地の活性化を図り、賑わいを創出する、というものです。そして、事業は昭和62年度から開始され、平成5年3月に事業計画案が策定されました。ところが、平成7年の市長選挙において、事業を計画案のまま続行するのか、それとも計画案を見直して縮小するのかが、大きな争点となり、いわゆる縮小見直しを公約として掲げられた西寺候補が初当選されました。しかし、この縮小見直しという定義の曖昧な公約は、その後、関係するそれぞれの立場で様々に解釈され一人歩きを始めています。そして現在では、結果的に市民に混乱を引き起こし、事業の円滑な推進を阻害しています。

まず第一に、対象地区の関係住民ですが、西寺市長が誕生し、計画案が縮小見直しされるということが、取りも直さず減歩率が15%から限りなくゼロになる、との期待に満ちた解釈をしたのではないか、と思われます。
第二に、対象地区外の10万の一般市民は、縮小見直しという公約の実現によって、本来の事業目的が達成され、かつ関係住民の満足が得られるのならば、それに越したことはないと解釈し、事業の推移を見守っている、というのが現状であります。
また第三は、当初、西寺市長と事務方との間に意見や解釈にズレがあったことであります。その後、市長は道路が街を分断すると発言されたこと、掛川市の区画整理がどこにでもある特徴のない街だと発言されたこと、及び、市長が区画整理法の見直しを試みられたこと、その他もろもろの発言から、総合的に勘案しますと、西寺市長が掲げられた縮小見直しという公約は、次のようなものではなかったかと考えます。

つまり、バブル時期に策定したデパートなどを含む大規模な区画整理がまずいので、規模を小さくし、他の方法で行えば住民の減歩率の期待に応えられるのではないか、と。しかし現実には、西寺市長の公約実現を目指して進められている現在の事業は、当初の面整備の範囲が四分の一に縮小されただけで、従来と同じ区画整理法が採用されており、しかも、関係住民の減歩率低減の要望に応えていません。そのことは、今年の1月31日、駅周の事務所で開催された関係住民と西寺市長との懇話会ではっきり致しました。関係住民の主張は、減歩率を下げて欲しい、住環境が悪化するので、街を分断する区画整理は実施して欲しくない、というものでした。西寺市長が誕生して既に丸6年が経過しようとしていますが、減歩率とセットになっている区画整理の手法は、関係住民にまったく理解が得られていませんし、減歩率を下げて欲しい、という声は止むことがありません。関係住民にとっては、望みもしない区画整理のために、15%の土地を召し上げられるという被害意識しか残っていないのであります。これは大変不幸なことです。この間、事務方は事業の進め方が一方的かつ高圧的であったことを反省し、関係住民に懇切丁寧に説明しながら事業を進めて来られました。また、駅北地区を、どのような街にするのかなどの意見を聴衆するために「まちづくり協議会」を立ち上げ、さらに、専門家の指導によるワークショップや、お試し街づくりガヤガヤ会議も開催されました。その努力は評価します。
しかし、13年度に仮換地を控え、14年度に家屋移転が始まろうとしている現段階で、さらに、関係住民の関心は仮換地とその減歩率に集中してしまって、駅北地区をどのような街にするのか、多治見の玄関として、多治見の顔として、商業地区として、どうすれば、誇りと愛着の持てる街を作ることができるか、という話題には全く興味を示していません。ですから、駅北地区をどのような街にするのかを、住民も、市民も、誰も、真剣に検討していないのです。駅北地区土地区画整理事業という現在の事業は、当初の面整備の範囲を四分の一に縮小したままで、残りの四分の三を継続して実施するという担保は、何もされていません。事務方は残りの四分の三を実施するという前提で、道路用地を確保し、当面はその用地を公園として整備すると言っています。しかし、減歩率を下げて欲しいと願う住民と、それを受け入れる形で縮小見直しを公約に掲げた市長が、道路は街を分断すると言っていることを鑑みると、残りの四分の三の地区が整備される可能性は、極めて低いと考えざるを得ません。残りの四分の三が整備されないならば、当初の駅周辺整備事業の本来の目的は失われます。つまり、駅の南北を一体化して中心市街地を造り、賑わいを創出して商業地区を活性化することができないのです。そして、事業が現状のままで推移すると、市が約40億円出して清算事業団から購入した駅北の土地は、商業環境を整備するためにではなく、住居環境を良くするために消費される可能性が高いのです。恐らく、現在、進められている駅北の区画整理事業による街づくりは、関係住民にも、そして、10万の一般市民にも、さらには西寺市長にさえも、つまり、誰にも喜ばれることのない街が出来上がる可能性があります。

何故、このような事になったのでしょうか。

私は西寺市長の縮小見直し公約の定義が曖昧だったことが、何よりも根本的な原因であると考えています。そして、さらに大切なことは、事業の進め方、特に情報公開と住民と市民参加の方法が、根本的に間違っていることが原因になっていると考えています。市長は情報公開と市民参加において、多治見市が他市に比べて進んでいると自負されていますが、市民から見れば、まだ、職員の「市民を寄らしむべし、知らしむべからず」の体質が、あちこちに見え隠れしています。その上、市の基本姿勢は情報を聴衆・伝達する方法がトップダウンであり、市民を信頼しつつ、その意見をじっくりと、時間をかけて汲み上げるという姿勢、つまりボトムアップの姿勢に欠けています。旧態依然としたこのような姿勢を続けていれば、いつまで経っても、市政に対する市民の疑心暗鬼は解消されず、また関係住民との合意形成は困難であります。早急に住民との合意形成を目指した、ボトムアップの住民参加制度を確立する必要があると考えます。

昨年の12月、北海道のニセコ町は「まちづくり基本条例」を制定しました。
この条例は、まちづくりの基本的な事項を定め、町民の権利と責務を明らかにして町の自治を実現するために制定されたものです。
条例は、14章・45条からなり、まちづくりの理念、情報の共有と説明責任、意思決定の明確化と町民の計画過程の参加方法、及び住民投票などについて、詳細に規定しています。本条例は、地方自治体の憲法ともいうべき画期的なものです。ニセコ町は人口が約4200人です。人口が10万の多治見市の方が、当然、組織としての能力は、はるかに上のはずです。先日の本会議で、「美しい風景づくり条例」の質疑の場でも述べましたが、至急、このような条例を策定していただきたい。そうして、駅北地区の区画整理事業の仕切り直しをして頂きたい。今のままで、突き進むと、将来、誰も望まない駅北地区の街が出来上がると、私は考えます。

以上のような観点から、以下に9項目の質問を行います。

@ 1月31日の市長懇話会における住民からのさらなる減歩率提言要求に対して、今後、どのように対処するのでしょうか。

A 現計画は住民・市民・市長の誰の要望も満たしていないと考えています。今考えられるそれぞれの立場における満足している項目と不満足の項目を教えて頂きたい。

B 都市計画としての駅北地区における「適正な人口密度」と「適正な市街地の規模」及び「適正な自然環境」を具体的な数値で表現して頂きたい。

C 当初の目的である商業地としての賑わいは現計画のどこに反映されているのでしょうか。

D 現計画の中に「多治見らしさ」は、どこに盛り込まれているのでしょうか。

E 既設の「街づくり協議会」は所期の目的を達成しているのでしょうか。

F 都市計画でいう「多治見市の顔」は、どのような手続きと方法で作られるのでしょうか。

G 住民と市民は「顔づり」に、いつどのような方法で参加するのでしょうか。

H ニセコ町のように市民参加を謳った「まちづくり基本条例」を、制定する予定はないのでしょうか。


 質問の終わりに際して、答弁者の国友理事にお願いがあります。答弁はメモが取れるぐらいの速度で、ゆっくりお願いいたします。

 

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