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公開質問に対する回答

前略、今回の試みを基本的に歓迎いたします。しかしながら、4月12日付けで発送された質問書に対し、同18日までに回答を提出することは、18日に告示される選挙の準備をする者にとって、はなはだ酷であります。したがって、回答は十分に検討したものになっていません。その点、ご容赦をお願い致します。次回はもう少し余裕があればと希望いたします。 早々

質問−1

 多治見市東町で国際陶磁器テーマパーク関連施設が建設されようとしています。財団法人岐阜県陶磁器資料館の隣接地に17億円かけて造成した更地があります。弊会はここでの建設を願っています。この件に関し、如何なる所信をお持ちでしょうか?

(回答)

私は陶磁器資料館隣接地の更地に地場産業を活性化するための大学を誘致したいと考えており、そのための準備を進めています。このため、国際陶磁器テーマパークをこの更地に建設することには反対であります。

質問−2

 多治見市住吉土地区画整理組合を設立し住宅団地を造成しようとしています。この宅地造成工事は700年の古刹の国宝等の重大な悪影響が懸念されております。そして、多治見市の天然記念物指定(シデコブシの群生地)に最悪なダメージを与えることが確実です。この件に関し、如何なる所信をお持ちでしょうか?

(回答)

私は基本的に組合が自らの権利に基づき宅地開発を行うことに対して口を挟むつもりはありません。ただし、宅地開発によって、第三者や貴重な自然に悪影響が発生すると予想されるのならば、それを明らかにするための調査は必要です。

その調査の結果を見て、何らかの対策工によって悪影響が除去できるのであれば、宅地開発は許可されるべきですし、対策工を施工しても悪影響が除去できない場合は宅地開発を許可すべきではありません。

以上の点から、本件を最も公正かつ納得のゆく方向に導くための重要な問題は、必要とされる十分な調査が行われるか否かであり、しかも、その調査結果が客観性を持つためには、十分な情報公開がなされるか否かであります。加えて、その調査結果に基づいた適切な対策工が施され、悪影響が除去されるか否かであります。

現在、組合によって様々な調査が実施されていると聞いております。上記のような理由により、私は今後公開されるであろう調査結果を見てから判断を下したいと考えています。

ただし、市の執行部は、この件に関して幾つかのミスを犯しています。このミスに対し、私は昨年の12月議会の一般質問で、次のように質問しました。

@ 緑のマスタープランにおいて「特に重要な保全すべき緑地」と指定した市が、その一年半後の都市計画決定で、市民に何の相談もなく「宅地開発区域」に指定している。何故か。

A 市は臥龍池の護岸工事に補助金(5年間で約2,200万円)を投入している立場上、池の水源の枯渇を防ぐ義務がある。つまり水源枯渇の恐れがある事業を推進している組合に対して指導監督する義務があり、場合によっては自らも調査を実施すべきと考えるが、市はどのように考えているのか。

B 組合は宅地開発による影響は軽微であると弁明しているようであるが、具体的な影響の度合いと、その対策工はどのようなものか。

市の答弁は紙面の都合上、割愛しますが、いずれも私が納得できる回答は得られなかったことを付記いたします。

質問−3

 環境庁の所謂「レッドデータブック」で絶滅危惧U種(Vu)に指定されているシデコブシ、オオタカそれらは「絶滅の恐れある野生動植物の種の保存に関する法律」で種の保存を義務付けています。法治国家ですので、当然、条例等につきましても尊法精神の下でのご判断は当然あるものと確信しております。野生動植物などの種の保存についての条令制定に関し、如何なる所信をお持ちでしょうか?

(回答)

法律で種の保存が定められているのならば、改めて条例を定める必要はないと考えます。規制緩和の時代に屋上屋を架すことは避けたいと考えます。

だだし、法律に不備があったり、多治見に特有な保存すべき種があれば、条例を制定することには賛成です。

質問−4

 弊会は自然保護を旨としております。その考えの一端に、都市再開発を推進することにより土岐川の氾濫・人命・財産の損害を将来にわたり食い止めたいと考えております。如何なる方法で、土岐川の氾濫・人命・財産の損害を将来にわたり食い止める政策をお持ちですか?

(回答)

そもそも土岐川はその流域面積に比較して河川流路断面積が小さく、現在10年確率の降雨量に耐えられる流下容量しかありません。このため将来にわたって氾濫を防ぐ抜本的な対策が必要でありますが、その方法としては土岐川の堤防を市街地側に引き寄せるか、現在の堤防を高くして、河川の流路断面積を大きくするしかありません。

しかし、堤防の引堤は市街地をさらに狭くし、堤防の嵩上げは現在架っている橋の橋桁を現在より全て高くしなければなりません。そのための工事費は莫大なものが予想されています。

このため、財政非常緊急事態宣言を発令している多治見市としては、投資対効果の面で、10年や30年に1度来るか来ないかも知れない洪水に対し、はたして莫大な費用をかけることに、市民のコンセンサスが得られるのかという懸念があります。また、多治見の市街地のみ30年確率の降雨量に耐えられる河川に改良しても、古虎渓付近の狭隘な地形によって河川断面が狭められているため、洪水がダムアップされて滞留し、洪水が堤防からオーバーフロウする恐れがあります。

一方、このような現状に対して、建設省は下流から30年確率の降雨量に耐えられるように、徐々に河川を改良しています。また、流域面積の広い上流では小里川ダムのような洪水調整型のダムを建設しています。私は基本的にこの建設省の方針を支持しています。

なお、質問の中に「都市再開発を推進することにより、氾濫を食い止めたい」という主旨の文章があります。これは恐らく都市の緑化推進政策のことであろうと推察しており、私は基本的に支持いたしますが、この政策は洪水の発生を遅らせ、かつ軽減することはできても、河川氾濫の根本的な対策にはなり得ません。

河川氾濫対策のうちで効果のある順位は、@河川断面の拡大、A洪水調整ダムの建設、B遊水池(昔は県病院付近にあった)又は調整池(団地開発の際に義務付けられている)の建設、及びC都市の緑化推進の順であります。

行政の施策は、これらの効果順位を考慮しつつ、人命・財産の保全と工事費、及び環境保全をどのように整合させるのかを比較検討した後、決定すべきものと考えています。

質問−5

 ピンクのビルが社会問題となっております。多治見市の条例に欠陥があったのか? 条例の運用に問題があったのか? 議会には条例制定権と行政行為監視権がありますが、それが放棄されているように思われます。条例を制定する立場になろうとする貴殿は、如何なる所信を持ちでしょうか?

(回答)

ピンクビルの問題を発生させた要因として考えられるものは、@市が許可した外壁の色と、県が許可した色が異なること、Aこの県の対応に、西寺市長が迅速に抗議し、かつ色の変更を求めなかったことの2つであります。この問題についても、私は昨年の12月議会の一般質問で市に質問しましたが、納得の行く答弁は得られませんでした。そして、議会はホテルの営業許認可の指導強化を求める意見書を採択し、県に送付しました。

私はこの事件が現行法の中でも十分に避けられた問題であると考えています。

しかし、従来からの法律は建築を容認する立場で作られていますので、今回のような知恵の働く業者にとっては、ザル法なのかも知れません。したがって、今後、都市の景観や美化を基準とした条例が必要と考えています。

昨年、多治見市は環境基本条例を制定しました。今後、この条例(全ての条例に対する上位条例)を基に、種々の条例を制定する必要があると考えています。

質問−6

 政治は民意の具現の場と言われています。その民意を汲み上げの具体的な政策をお持ちでしょうか?

(回答)

現在のシステムは議会制民主主義の制度として練度の高いものと考えています。民意を汲み上げる方法は、多ければ多いほど多様な民意が良く汲み上げられますが、それに比例して行政側と市民側の両方のコスト(費用と時間)は高くなります。つまり、どこまでの民意をどの程度のコストをかけて得るのが良いのかを決めることが難しい。また得られた結論は時代や価値観の変化とともに変るため、市民の十分なコンセンサスを得ることは、さらに難しいのではないか考えます。

したがって、現行の制度は今日までの試行錯誤の結果、不十分さを認めながらも現存しているのではないかと、理解しています。

民意を汲み上げる現行のシステムには、行政の執行機関側が汲み上げるルートと、議会側が汲み上げるルートの2つがあります。民意をより効果的にかつ迅速に行政に反映させるためには、執行機関側のルートが効果的であります。

執行機関側の方法には、4年に1回行われる市長選挙が最も大きいものでありますが、それを補完するものとして議会の開催や、各種公聴会、審議会、市民委員会、説明会、及び市長への手紙などがあります。一方、議会側の方法には、請願法に基づく「請願」行為があり、その他にも「陳情」や「要望」の行為があります。しかし、どちらかと言えば、これらの行為は民意が執行機関側に受け入れられない場合、次善の策として活用されることが多いようであります。

最近、議会側の方法として、住民投票が注目されており、幾つかの自治体では住民投票条例が制定されています。しかし、議会は間接民主主義制度に基づいていますので、議会を存続させたままで、議会を否定するに等しい直接民主主義の住民投票を採用することに、議会側の抵抗感があるようであります。

住民投票が行われる動機は、民意が議会に反映されていない、もしくは民意と議会の間にねじれがあると考えることによります。しかし、本来、議員は住民や市民の代弁者であるはずでありますから、28人の議員からなる議会は、常に全市民の代弁者でなければなりません。市長と議会の意見が異なることがあっても、市民の意見や要望と議会の意向が異なることは、議会制民主主義の制度上、考えにくいことであります。

仮に、議会が民意(この場合、市民の最大多数の最大公約数的な意見と要望を指す。以下、同様)を代弁していないのであれば、住民投票を実施して、議会の喚起を促すのも一つの方法です。しかし、民意を実現するためには、手続き上、住民投票よりも「請願」行為の方がはるかに容易ですし、効力もあります。

「請願」での問題は、議会が28人の議員からなるために、市民の意見や要望が議会の中で過半数を占めて、民意となるか否かであります。議会で民意を獲得するためには、市民の意見や要望を代弁してくれる議員を、選挙の時に過半数以上選んでおく必要があります。もし、議会が民意を代弁していないのであれば、それは多くの市民が自分の意見や要望を代弁してくれる議員を選んでいないことになります。

したがって、市民は自分の投票した議員が自分の意見や要望を代弁してくれたか否かを確認することも、民意を汲み上げる有力な方法であると考えます。


 
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